心はいつも雨模様

記憶より記録

雨のちゴキ

f:id:aimaru105:20170608201917j:plain
驚愕するほどの出来事を味わったのは今回で二度目。

ついに奴が現れた。神がかり的な俊敏性と、ダイヤのごとくキラキラと黒光りするボディを兼ね備えたゴキ様。

私は、一人暮らしを始めるときに、ある目標を立てた。それはゴキ様が私の前に現れないように、部屋の健全性を最低限は保つようにする、ということだ。一週間に一度は必ず掃除機をかけ、水周りに汚れが目立てば、すかさず市販の掃除道具を使って対処をする。これは学生時代から行ってきたことで、現在まで続けてきた。

別に潔癖性というわけではない。ある程度の小汚い部屋もそれはそれで味があると思っているし、汚れと共存していかないと、逆に体が弱ってしまうのも最近の医学でこれみよがしと謳われている(たぶん)

それなのに、今回は最悪だった。
こんなにも注意していたのに…こんなにも、警戒していたのに…

雨の日。ジメっとした嫌な暑さが、部屋を纏わりつく中、私は夜に目が覚め、そこでふと、明日の朝ご飯のお米を、炊飯器にタイマーでセットし忘れていたことに気が付いた。

寝ぼけ眼で台所へと向かう。
台所のシンク下にお米が収納されているので、腰を屈め、下の扉を開ける。
計量カップを握り、いつも通りにお米をすくう。
しかし、お米をすくったつもりだったけど、計量カップの中がカサコソカサコソと騒がしい。

よく見ると、ゴキ様だった。

「ギャー!」と、声を上げたいところだったけど、真夜中だったので、声を押し殺し、小さく呻き声を上げた。
そして、目の前が真っ白になった。
ああ、いつからだろう、いつからこのゴキ様は、このお米に集っていたのだろう。

…私はもしかすると、ゴキ様が這い回ったお米をずっとおいしそうに…いや、やめよう。理性が壊れる。

私はそのまま計量カップをお米の中に戻し、お米ごとゴミ箱に捨てた。
そして、10分間、いや、それ以上の時間、立ち尽くした。
胃の中をすべて消毒したい。そのような思いに駆られた。

しかし、ゴキ様に驚愕されられたのは、何も今回に限った話ではなく、私がまだ子供だった頃にも、顔が青ざめてしまうくらいの出来事をゴキ様はやってのけた。

確かその日も、ウトウトとしていた。ふと、歯を磨くのを忘れていたことに気づき、私は目をこすりながら洗面所へと向かった。

誰もいないのに、カリカリ、カリカリ、と音がする。
何だろう、と、電気をつけると…
ゴキ様が、歯ブラシのブラシ部分を、ガジガジとかじっていた(実話です)
私はこの時になって初めて、ゴキ様にも歯があるんだ、ということと、人類の最大の敵はゴキ様であることを知った。

ゴキ様の話はもうこれでおしまい。書いてて気分が悪くなる。

私は、これまで20年以上生きてきて、確かなことを一つだけ実感していることがある。それは、心の乱れは部屋の乱れに影響する、ということだ。

先週、先々週と、私はシステム開発に行き詰まりを感じ、そして先輩社員からの厳しいお言葉もあり、かなり凹んでいた。もうどうでもいいや、という投げやりの気持ちが日常生活にも及んでしまい、大切な部屋の掃除も大分適当になっていった。たぶん、今回、人生で一番部屋が荒れていたと思う。

でも考えて見ると、心の乱れは部屋の乱れ、言い換えれば、これすなわち、部屋の乱れは心の乱れ、になるのではなかろうか。

部屋をきれいにすると、心も清らかになって、多少は充実した人生を送ることができる。そうやって今まで過ごしてきたのに、いつの間にか、忘れてしまっていた。

人生って、難しい。分かっていても、忘れてしまうのだから。

ゴキ様はたぶん、周りの目からは気づけない、心の乱れを教えてくれる、貴重な虫だったりするのかもしれない。

しかし、そうやっていい方にゴキ様のことを持ち上げても、やはりどうしても抵抗を感じてしまうのは、それ以上の負の何かがあるんだろうな、きっと。

…しばらく外食にしよう…

Mの逮捕

大阪府大阪市に住む男性会社員のM容疑者が昨日八時頃、市内の駅構内の改札口で突然奇妙な行動をとり、そのまま警察に逮捕された。警察が駆けつける前にはすでに駅員に取押えられており、朝の通勤ラッシュの邪魔になるからと待合室で待機させていた。駅員の話によるとM容疑者は「白髪が増えた白髪が増えた」と呟いてばかりで会話のキャッチボールがまったくできないくらいに動揺している様子だった。しばらくして落ち着きを取り戻したかと思うと今度は「僕は何も悪くない」と急に白を切り始めたという。その後、警察の調べによるとM容疑者は「改札をくぐり抜けると人生のひと欠片が空しく散っていくのを想像して、突然胸が苦しくなった。だから改札前で踊っていた方がマシだと思った」と涙を浮かべながら容疑を認めたという。警察はこの他にもみっともない行為をしでかしている可能性があるとみて、身柄を拘束している。

2017年、初夏、東京③

5月は東京に行く機会が多く、6月になっても未だに東京の出来事を纏めきれずにいたので、今回で全て纏めようと思います。中村文則さんの文学講座に参加したことは詳細に記しましたが、腐れ縁の友人に会い、くだらない時間を過ごしたことは書いていませんでしたので、思い出の整理の為、そして、今後の東京旅行に活かすために、ほどほどに書き残しておきます。

 夜行バスはやっぱり眠れない

夜行バスで東京に行くのは今回で4回目で、さすがにもうバス慣れしているだろうと高を括っていましたが、成長虚しく、まったく眠ることができませんでした。しばらくバスには乗りたくありません。

印象に残った出来事と言えば、トイレ休憩のためサービスエリアに立ち寄ったことくらいですね。深夜1時30分過ぎ、真夜中であるにも関わらず、大勢の人たちがお土産屋さんや飲食コーナーに集まって元気に話をしていているので、その光景を見るやいなや「こいつら、眠くないんだろうか」と、疑問を抱かずにはいられませんでした。おそらく、旅行の熟練者は、生活のリズムを自由自在に操れるのでしょう。

 新宿

夜行バスは新宿のバスセンターに止まり、私はそこで降りました。外の空気を吸うために建物から出ると、時計塔のような建物が朝日に照らされて輝いている光景が目に飛び込んできました。新海誠の作品でよく描かれる建物だったので、眠いのも忘れて、この時ばかりはつい見惚れてしまいました。ちなみにあの時計塔のような建物は、NTTドコモのビルだということを、後になって知りました。しかも、新宿の象徴的建物だと思いきや、渋谷区に位置していたので、驚きです。

f:id:aimaru105:20170605212733j:plain
写真:朝の新宿の時計塔

 渋谷ハチ公前・スクランブル交差点

バスを降りた後は友人のアパートに向かい、明治大学近くの駅で降りました。この時、早朝6時過ぎで、電話をしても、出てくれる気配がまったくありません。「起きろよ~」と念じても、着信音が鳴り続けるだけでした。近くのカフェで時間を潰すことにし、その後、電話をしてから1時間後くらいに再度私のスマホに着信がありました。
「ごめん、寝てたわ~」
「許す」
こうして小学時代からの友人Kと初めて東京の地で会うことになりました。

渋谷が近かったので、まずは渋谷を見物しに行ました。「渋谷ハチ公前に待ち合わせ」誰しも、このセリフを一度は耳にしたことがあるでしょう。 ハチ公の像は、駅の出口を出たら、デデン!と現れるか思っていましたが、ひっそりと木の陰に隠れた状態で姿を現しました。涼し気な感じがして、待ち合わせに相応しい場所ですね。

f:id:aimaru105:20170605212415j:plain
写真:「渋谷ハチ公前に待ち合わせ」

スクランブル交差点は初夏の陽射しがさんさんと照り付けていて、目玉焼きが作れるくらいに熱気が籠っていました。ヒートアイランド現象の根源ですね。

f:id:aimaru105:20170605212504j:plain
写真:渋谷の風景

 上野公園・上野動物園

次は上野公園へ行きました。女友達のMが12時過ぎに上野駅にて合流する流れとなっていたので、適当に歩き回り、時間を潰していきました。上野公園に生い茂る木々の葉たちが初夏の陽射しを遮り、木漏れ陽が気持ちよく感じられました。
公園内の草木の匂いが少年時代の思い出を呼び覚まし、私たちは昔の思い出を語り出しました。
「そういえば、地元の祭りで、馬が大量のう○こを道路一面に漏らしたのを覚えてる?」
「覚えてる覚えてる。君はあのう○こを見て、たいそう喜んでたね」
「あの祭りはう○こしか印象に残っていない。というかマルイネコも喜んでたろう?」
「う○こを見て喜ぶわけないだろう」
「あと、マルイネコは僕のパチンコを使って、う○こに目掛けて弾を発射させて、う○こを爆発させたことがあったね。飛び散ったう○こはみんなの服、あるいは道具に付着して、大変だった。あのバカげた行為は今でも鮮明に覚えてる」
「俺、そんなことしたっけ?」
「忘れんなこのう○こタレ野郎」
「別にう○こはタレてない。あ、毛虫だ」
「イヤー」
「うっそー」
…もう二十代半ばであるはずなのに、私たちはう○こと毛虫の話だけで盛り上がりました。本当に、子供の頃からまったく成長していません。上野公園で飲むラムネは最高に美味しかったです。

f:id:aimaru105:20170605214155j:plain
写真:ラムネ

その後、小学時代からの女友達Mが東京に到着し、無事に合流しました。Mは東京に到着するなり、ジミー大西を駅で見かけたことにすごく興奮していました。
ジミー大西に会ったんだよーーー!」
「確かにすごいけど、何か微妙だ」とK。
「Mに相応しい人徳を如実に表してる」と私。
「は~?(怒)」
そのまま上野動物園に向かいました。暑さのせいか、動物たちは基本的にうなだれていました。

f:id:aimaru105:20170605214236j:plain
「やる気でねー…」といった感じ。でも、まったくやる気の感じられないパンダは、それはそれで可愛かったです。
一通り見た後、中村文則さんに会うため、私はここで一旦離脱しました。

 下北沢

夕食は下北沢でとることになりました。下北沢は細く入り組んだ道が多いのが特徴で、お洒落な雑貨屋さんや、食べ物屋、そして、飲み屋が、所狭しと軒を連ねていていました。歩いているだけでワクワクします。旅行者にはおすすめの場所ですね。

f:id:aimaru105:20170605222439j:plain
写真:下北沢の夜の街並み

f:id:aimaru105:20170605221006j:plain
写真:とある飲み屋のおでん。ダイナミックに大根が使われていますね。

 吉祥寺・井之頭公園

友人のアパートに泊まり、アホな話をした翌日は、吉祥寺の井之頭公園を散歩しに行きました。ランニングをしている人、読書に耽っている人、楽器を弾いている人、そして、不思議なアクセサリーや雑貨などを売っている人など、様々な人がいたので、公園としのスケールの大きさを実感しました。住みたい町ナンバーワンになるのも頷けます。

f:id:aimaru105:20170605221851j:plain
写真:井之頭公園入口

f:id:aimaru105:20170605221750j:plain
写真:水面に映る青葉

f:id:aimaru105:20170605222336j:plain
写真:散歩コース

 秋葉原

アキバはゴールデンウィークに会社の先輩と満喫したので、前よりは大きな感動と言ったものはありませんでした。しかしまだ入ったことのないお店などに立ち寄ったりしたので、それなりに楽しめました。小学時代に流行ったゲームなどを見て回り「懐かしいなあ」と、会話を弾ませることができるのは、秋葉原ならではの楽しみ方ではないでしょうか。それと、メイドカフェには行かず、またしても猫カフェに行きました。

f:id:aimaru105:20170605221250j:plain
猫は何度見ても可愛いし癒されるので、猫カフェは、至福の時を過ごせる天国のような場所ですね。

女友達のMが「ジュクシ!ジュクシ!」と効果音を発しながら、友人のお腹を攻撃する外国人観光客の姿を目撃して、「馬鹿だなあ~」と呆れていました。でも、どこか愛おしさのこもった顔つきで、一部始終を回想していたのがとても印象的でした。子供心の大切さを、もしかすると気づいたのかもしれませんね。大人になると、心が無機質になってしまいますから。

 浅草

最後に、女友達のMが浅草に行きたいということだったので、私たちは浅草へと向かいました。私自身、浅草は三回目となりましたが、何度訪れても、あの人の多さと、活気に満ちたお店の佇まいには、驚いてしまいます。あそこは、東京では上位に入るほど、人が多く密集する地域なのではないでしょうか。私はそう思います。

この時点で暑さと眠気と人の多さで心身ともにヘトヘトになっており、みんなの口数が少なくなっていました。もうすぐ旅行も潮時だ。そう頭によぎったことでしょう。

浅草寺でおみくじを引き、今後の人生の良し悪しを決めてから、今回の三人での東京旅行を締めくくることになりました。運命のくじ引きの結果はこうなりました。
友人K:小吉
女友達M:大吉
私:凶
「いやー良かった良かった。終わりよければすべて良し。あれ、マルイネコ、なんで遠い目をしてるの?」
「世界なんて…終わってしまえばいい」

私は浅草寺から飛び出し、空を見上げ、目をカッと見開き「神様のバカヤロー!」と心の中で叫びました。

こうして、小学時代の古き良き友人との初夏の東京旅行は、幕を閉じることになりました。

 過去記事
   ↓ ↓ ↓

aimaru105.hatenablog.jp

aimaru105.hatenablog.jp