驟雨日記 ~夜の散歩~
夜の散歩が好きだ。
昼間は人でごみごみとしている場所も、お空に真っ黒なカーテンを敷き詰めれば、人は怯えたように自分達の巣穴に潜り込んでいく。
私は、その時間帯を狙って外に出る。人はいるけど、まばらなので、まるで世界が自分を最も必要としてくれているみたいに思えてくる。その瞬間が、私の気持ちを落ち着かせてくれる。
大阪の道は、田舎の道とは違って、外灯がいくつも並んでいる。一つ一つの淡い思い出を照らし出すように、私を誘惑する。どこまでも続く光。その先に、希望をもたらしてくれるものはあるのか。
自動販売機がある。夜なのに、缶コーヒーを買う。きっと、今日も眠れないだろう。
寂れた公園へ行き、ベンチに腰かける。何となく空を見上げる。田舎とは違い、光と排気ガスで星が霞んで見える。これだと、流れ星もきっと、ひっかきキズのように、みっともない跡を残していくだけになるだろう。
今日もくだらない一日だった。
それでも、夜の散歩がてらに飲むコーヒーは、美味しい。
世界が夜になればいい。
世界が、夜になればいい。
2017年4月28日