心はいつも雨模様

記憶より記録

アナログレコードを買ってみた

 iPodウォークマンが主流となっているこのご時世に、優雅に回転するアナログレコードを眺めながら、小洒落た音楽に聴き入る二十代半ばの野郎が、一体日本にどれくら存在するのだろうか。二年前から万年筆で手紙を書き始め、そして、最近はアナログレコードで音楽を聞く。何だか時代に逆らっているようで、今を生きてる感じがしない。この記事だって古いポメラで書いてるし。

アナログレコードを買った理由

  アナログレコードに手を出した理由は、小さい頃から古いものに憧れていたとか、そんな健全な理由からではなく、ただ単に、映画「君の名は。」の音楽をアナログレコードで聴いてみたいと思ったからだ。CDで聴けばいいじゃないか、と突っ込まれるのは承知であるが、とにかく、アナログレコードで聴いてみたかった。いわゆる、ただのわがままだ。
 なぜそんなわがままな発想に思い至ったのか、それは、自宅だけでしか聴くことのできない、音楽による癒しの時間をどうしても作りたかった。だから、どこにも持ち歩けない、アナログレコードが最善だと考えた。私の部屋にはテレビがないので、仕事から帰っても部屋の中は常に静寂に保たれている。読書や勉強に集中できるけど、それと同時にいろんなことを考えてしまう。それが結構ストレスになる。無音が醸し出す無意味なストレスを、アナログレコードが紡ぎ出す音楽によって紛らわしたかった。
 安直な発想だったけれど、これが意外にも名案だったように思う。

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CDとアナログレコードの違い

 音による違いは特にない。アナログレコード特有の渋い音が鳴り響けばいいのだけれど、残念ながら、それはない。私の耳にセンスがないだけなのかもしれないが、本音はそうだ。むしろCDとかで聴いた方が手軽だし、高性能のスピーカーやイヤホンを使えば、そっちの方が音は優れているように思う。
 見た目と取り扱い、そして、曲の種類、違いはこれらに尽きるんじゃないかと思う。
 黒い不気味な円盤に、針をチョンと置くだけで音がでる。それだけで感動が生まれる。初めて黒い円盤から音が出た時は「ほ、本当に音が出るんだ!」と、初めてスマホを指で操作したくらいの感動があった。
 扱いは丁重にしないといけない。もし傷が付いてしまったら、それだけで音に影響が出てしまう。そこが少し面倒だけど、音楽を大切にする気持ちが、CDよりも断然違うと胸を張って言い切ることができる。
 曲の種類も、売られているのがほとんど昔のものなので、今の流行の曲を聴きたくてもアナログレコードでは聴けなかったりする。しかし、新たな曲の出会いとしては、良いきっかけになるのではないかと、個人的には考えている。


アナログレコードはどこに売ってるのか

 Amazonヤフオクで販売されているから、聴きたい曲があれば検索して買うのが一番だと思う。私は特にアナログレコードで聴きたい、こだわりの曲がなかったから、実際にレコード店に行ってみた。
「とりあえずビートルズが無難かな」という如何にも初心者丸出しの考えで、4店舗くらいレコード店を渡り歩いた。
 しかし人が少ない。そして、店舗は驚くほど狭い。
 店内は、アナログレコードを愛してやまないこの道○○年という強者しかいないので、会話もマニアックな単語ばかりが飛び交っている。
 初心者の私が場違いだったのは否めなかった。
 アナログレコードのラベルはほとんど英語なので、ビートルズ以外に何を選んでいいのか分からない。目的のビートルズも見つからない。じっくりと吟味し、何も買わない行動を繰り返し、ついに4店舗目に突入。
 そして、ようやくビートルズを見つける。二枚入って約1000円だったので、安い、と思い、その場で2セット購入することを決める。
 気になったのが、日本版と海外版の違い。マニアックな会話をお客さんと流暢に楽しむ店主に勇気を持って尋ねてみた。
「日本版と海外版の違いって、何ですか?」恐る恐る尋ねる私の声はおそらく震えていた。だって、この店に似つかわしくない、あまりにも初歩的な質問だったから。
 すると、店主は「音による違いはありませんよ。中に入っている説明書が日本語で書かれているか、英語で書かれてるか、ただそれだけですよ」と懇切丁寧に教えてくれた。
 ありがとう、ありがとう店主よ。こんなにも何も知らない、初心者の私に答えてくれて…。
 レコードを2セット買うだけで、へとへとになるくらい体力を使ってしまう私なのであった。
 だから、あまりレコードについて詳しくない人は、ネットで買う方が手軽でいいと思うよ。

アナログレコードを買ってから

 アナログレコードで音楽を聴く習慣が数日続いているけど、先にも述べたとおり、前よりも音楽を大切にしようとする気持ちが増したように思う。ミスチルを聴き続けてこの道10年の私が、違った音楽に手を出すのは、人類で初めて月に足を運んだように、私にとって大きな一歩になった。なんてね。
 日々悶々としている人は、アナログレコードに限らず、何か自宅で気を紛らわせる趣味を見つけるのも、良い気晴らしになるのではないかと、私は考えている。